世代を超えて受け継がれる逸品を、日本から世界にお届けします

three kinds of bendable tinware is created by hammering

シマタニ昇龍工房|一子相伝の技が魅せる金属の世界(高岡鋳物)

「シマタニ昇龍工房」は、鋳物産業で名高い富山県高岡市で、江戸時代から「おりん」と呼ばれる仏具の製造を手がけている工房だ。その技術は一子相伝のみで継承されている。現在、老舗の暖簾を守るのは4代目の島谷好徳氏。伝統的な意匠に新しいエッセンスを加え、時代に呼応したものづくりへの情熱を燃やす。

 

全国でも10人に満たない「おりん職人」を擁する工房

仏教では宗教的雰囲気を高めるために、梵音具(ぼんおんぐ)という音を鳴らす仏具が用いられる。その代表的なものの一つが、お椀型の鐘とそれを叩く棒からなる「おりん」だ。

シマタニ昇龍工房は、寺院用のおりんを専門に製造してきた工房で、明治42年(1909年)創業。現在、おりんを手打ちで作れる職人は全国でも10人に満たないが、同工房にはそのうちの3人が在籍している。非常に貴重な存在といえるだろう

100余年かけて培った確かな技術で、ユーザーからの信頼も厚い。曹洞宗大本山・永平寺(福井県)、總持寺(神奈川県)、臨済宗南禅寺派の大本山・南禅寺(京都県)など、全国の由緒ある寺院で昇龍のおりんは愛用されている。

Orin creates beautiful easing sounds like heaven at buddist temples

幼い頃から後継者になることを望まれていた島谷氏だが、当初は家業を継ぐことへの反発心があったという。職人の仕事は「きつい・汚い・危険」というイメージが強く、魅力的に映らなかったからだ。

故郷を飛び出して、単身上京。大学を卒業後、自分の将来を考えて模索の日々を過ごしていた島谷氏だったが、ある偶然の出会いが人生のターニングポイントとなる。清掃ボランティアの女性に「仏さまの道具を作る家系に生まれるなんて、とても稀有で素晴らしいこと」と言われ、職人仕事の尊さに改めて気づいたのだ。

そこから家業を継ぐために実家に戻り、祖父に弟子入り。以来、おりんづくりに励みながらも、伝統技術を生かした新しい分野の商品開発にも意欲的に取り組んでいる。

 

耳で覚えて受け継ぐ伝統の技

おりんを叩くと、澄み切った美しい音が遠くまで鳴り響く。その音色は極楽浄土の仏さまの耳にも届くといわれ、古来より場を清め、邪気を払う力があると考えられてきた。

おりんは「鍛金」と呼ばれる方法で製造される。鍛金とは文字どおり、金属を叩いて鍛えていく日本の伝統的な金属加工技法だ。金属は叩くと硬くなるため、加熱してやわらかくする「焼きなまし」と鍛金の作業を繰り返して、形を整えていく。

おりんづくりにおいて、最も重要なのが調音である。おりん独特の波長をうねりという。正しく調音されたおりんは、ゆったりとしたうねりを響かせ、思わず手を合わせたくなるような調和のとれた音を奏でる。

音の良し悪しは、数値で測ることはできない。職人の耳だけが頼りだ。金具の上部を叩いては音を聴き、また叩いては音を聴いて「甲・乙・聞(かん・おつ・もん)」という3つの音のうねりを調音する。

この音を調整する技術は、何年もかけて体得していくものだ。職人の修行は、師匠の調音作業に耳を傾けてそのリズムを体に叩き込むことから始まり、一人前になるまで12年かかるといわれている。

a craftman is adjusting the sound of orin bell

まさに妥協なき職人技の結晶であるおりん。その心地よい響きは、国や宗教の垣根を超え、多くの人々を魅了している。フランスの展示会では、おりんの音を試した年配の女性が涙を流す場面もあったという。

最近では、心を落ち着かせるヒーリンググッズとして、ヨガや瞑想などでも用いられている。忙しいときやちょっと疲れているときに、おりんを鳴らしてみてはいかがだろうか。豊かな音色が心の奥深くまで染み渡り、安らぎと平穏をもたらしてくれるだろう。

 

自由な発想で使える錫の器「すずがみ」

昇龍が誇る鍛金の技術を生かして、現代の生活になじむ新しいプロダクトを作りたい。その思いから生まれたのが、「すずがみ」だ。「紙のように薄い錫」という意味から名付けられた。金属でありながら、折り紙のように折ったり曲げたりして、自由に形を変えられる錫製のアイテムだ。

origami crane made of bendable tinware called Suzugami

錫の板を繰り返し金鎚で叩き、圧力を加えながら伸ばしていくことで、金属密度が増し、繰り返し曲げることに耐えられる強度を備えた。職人が金槌で叩いて作った「あられ」「かざはな」「さみだれ」の3種類の模様は、いずれも日本の気象を見立てたもので、優しく温かみのあるデザインだ。

錫には抗菌作用があり、直接食品を置いて使用できる。錆びにくく安定した金属としても知られ、お手入れも簡単。繰り返し洗って使える強さがあり、食洗機の使用も可能だ。

食器や花器、コースター、アクセサリートレーなど使い方は自由自在。使用後は専用の伸ばし棒「ころ」を使えば、再び元の形に戻すことができる。軽量でかさばらないので、持ち運びにも便利だ。旅行や出張のお供としても活躍してくれるだろう。

表情豊かで、世界に一つだけの器。ぜひ自由な発想で楽しんでいただきたい。

 

 

シマタニ昇龍工房

明治42年創業。富山県高岡で、日本でも数少ない寺院用のおりんを専門に製造する。また、「shouryu」ブランドでは、折り紙のように自由に曲げたり伸ばしたりできる錫の器「すずがみ」を販売し新しいファンを獲得している。

"シマタニ昇龍工房"の作品をみる
Older Post
Newer Post

NEWSLETTER

日本の伝統工芸や文化に関するストーリーをお届けします

Age verification

By clicking enter you are verifying that you are old enough to consume alcohol.

Search

Shopping Cart

Your cart is currently empty.
Shop now